『アオイホノオ』島本 和彦 [マンガ]
読書メーターに読書記録を残すようになってからはめっきりこのブログの更新減ったんだけど、『アオイホノオ』は面白すぎるのでこちらにも残す。
現在テレビ東京にて絶賛放映中のドラマ版「アオイホノオ」があまりにも面白くて手に取った原作。ドラマも面白くて原作も面白くて、両方知ってるとドラマのEDとかも面白くて最高。あと私知らなかったんだけど、データ放送でも面白情報が見られたりするらしい。今度見よう。
作品は、漫画家島本和彦さんの学生時代を描いた自伝的ストーリー。
時は1980年代初頭。同級生に後にエヴァンゲリオン監督となる庵野秀明(作中では庵野ヒデアキ)や株式会社ガイナックス創設メンバーがいて、口ばっかりで全然手を動かさない主人公のホノオモユルくんは彼らにライバル心を燃やしながら鬱屈として学生時代を過ごすのだ。
高橋留美子やあだち充をはじめとした、当時活躍していた漫画家たちへの読者目線の上から批判(というか分析)も漏れなく面白い。曰く「高橋留美子はタイミングだけで生きている」やら「あだち充は野球漫画の描き方を知らない」やらw 自分より優れた者たちを上から目線で分析して、でも自分では何もしない(ていうかお前は早く描け、と読者がツッコミを入れざるをえない)ホノオモユルくんの青春がもちろんメインなのだけれど、それにも増して同級生庵野ヒデアキの魅力的なこと魅力的なこと。正直エヴァにそんなに思い入れはなかったんだけど、先日のエヴァ祭りは見られるものは見て、見られなかったものは録画してしまった。なんなのこの逆輸入感。当時から才能のカタマリかつ大変人だった庵野くんの好感度が私の中で今急上昇。学生時代に描いたパラパラアニメ(?)の完成度といったら惚れ惚れを通り越す。ついには youtubeで庵野監督が母校にアニメを教えに行くNHKプログラムの動画見つけてめちゃくちゃ堪能したっつーの。
で、ここまで私の中で庵野監督の存在を大きくしておきながら、毎巻毎巻冒頭は「この話はフィクションである」の文字がでで〜ん!と踊るからね。最高。
ドラマではホノオくんたちの通う学校は「大阪芸術大学」になっていたけれど、漫画では「大作家(おおさっか)芸術大学」。これは活かしてほしかったけど、なんでドラマでは大阪芸術大学にしちゃったんだろう。ドラマ版でのホノオモユルは柳楽優弥くんが演じているんだけれど、狂気を感じる程のオタクっぷりで、柳楽くんってすごく演技がうまい人なんだな、というのを知った。今まであまり見たみたことがなかったので、「誰も知らない」で賞をとった子、くらいの認識だった。
ちょっとこれは、マンガとドラマ合わせて楽しむと倍々で面白くなるわ。私はそこまで濃ゆいオタクライフを送っていないし、年代的にドンピシャなのは一世代上くらいだと思うので、楽しみ方は浅いほうなんだと思うけれど、それでも十分に面白い。未読・未視聴の漫画好きの人は読んで・見て損はない作品。
『千年万年りんごの子』1 [マンガ]
『天地明察』 [マンガ]
『信長協奏曲』1-6巻 [マンガ]
巷でウワサの『信長協奏曲』(石井あゆみ 著)をとうとう読んでみた。
「高校生が戦国時代にタイムスリップして、織田信長として生きることに…」
というアオリは知っていたけれど、実はそこまで期待してなかった。
ところが!
読み進めたら、面白いこと、面白いこと。
かなり早い段階でだけど、明智光秀、そうかー、そうきたかー、とか。
小学生の頃からの信長好きではあるけれど
細かい史実にまでは詳しくない私は
改めて信長の功績とか全部調べあげたくなったよ。
大まかには知ってるエピソードも多いんだけど
「そうだったのかー、それって信長がやったのかー」
ってエピソードがあったり
当時の武将たちの力関係については全然知識がない
(実は何度見ても聞いても覚えられない)から
改めてちゃんと知りたくなるなー。
絵柄も最初はそんなに好みじゃないかなと思ってたんだけど
読み進めていくうちに、なんとも味があって好きになってきた。
描かれていない期間の信長たちの日常も知りたくなってくるね。
1、2巻だけ試し読みしよう、くらいの気持ちで読み始めたのに
あんまり面白いから、一気に6巻まで読んじゃったよ。
最終回の落としどころはなんとなく想像つくけど
(当たってるかどうかはともかく)
そこまでの間、たくさんのエピソード読みたいなー。
『3月のライオン』第5巻 [マンガ]
『黒執事』10巻 [マンガ]
今までぼんやり読んでいた『黒執事』だけれど、この巻はチガウヨ!
シャーロック・ホームズにどっぷり浸かっていた学生時代の血が蘇るわ!
完全にジェレミー・ブレットの顔した「ジェレミー」氏の登場はまあ序の口。
前巻で出てきた駆け出しの小説家くんは売れる前のコナン・ドイル的な人だなとは
登場時からほくそえみながら読んでいたけれど
今回は、ドイルの師でありホームズのモデルとして有名なベル先生の名前が出てきたり
アフガニスタンやらバリツ(柔術)やらキーワード満載。
そしてなんといっても「まだらの紐」のパロディがたまらんです。
きっとこの後、小説家くんの手によって
ホームズとワトスンは生まれるのね…
と、想像ふくらむ、シャーロキアンには楽しい巻。
枢やな、ありがとう!みたいな気持ちにw
読むといいよ!
『聖☆おにいさん』1〜5巻 [マンガ]
以前マンガ大賞ノミネートされてた作品だったし
長年の友人にも薦められたので気になっていた
中村光『聖☆おにいさん』をやっと読んだ。
ヤバ
思ってたよりかなり面白い!!!!!
私は仏教もキリスト教もすごく詳しい訳ではなくて
でも、一般(ってどれくらいか知らんけど)よりは
少しだけ知ってるくらいだと思う。
だから微妙に知ってる程度の元ネタも多くて
それがいいさじ加減におもしろさ倍増なのかも。
あんまり詳しすぎるとつっこみを入れたくなるかもしれないし
全然知らないと、それはそれで楽しめると思うけれど
笑いどころを見逃してしまいそうでもったいない。
もちろん私程度のぼんやり知識だと
元ネタのわからないものも多くて
それらに関しては知りたくなるもんな、元。
多分に漏れず、検索しちゃいました。
めちゃくちゃおもしろいし
1冊の厚みが薄めだから、よけいライトにいい感じなんだな。
どうでもいいけど
私はこの作品で中村光の本を初めて読んで
何故かこの方を男性だと思い込んでいたのだけれど
つながりで読み出した『荒川アンダーザブリッジ」を見たら
女性だったのね。
それに軽く衝撃を受けました。
こちらも面白いけど、面白さの質はだいぶ違う。
私は『聖☆おにいさん』のほうが好きだな。
比べるものでもないと思うけれど。
荒川アンダーザブリッジ (1) (ヤングガンガンコミックス)
- 作者: 中村 光
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2005/07/25
- メディア: コミック
『しおんの王』全8巻 [マンガ]
ただの将棋マンガなのかと思って読み始めたら
将棋サスペンスだった『しおんの王』。
幼い頃両親が目の前で殺されたショックで
失語症となってしまった少女・紫音。
女流棋士としての道を歩み始めた彼女に
事件の影がせまる…。
犯人がカゲの状態で現れるシーンが
名探偵コナンの数十倍怖いw
話の流れも面白くてぐいぐい読ませられたし
展開も「おお、そうくるか」という方向に向かったりもしたけれど
犯人の動機がちょっと弱いような。
今wikiでチェックしたら原作が林葉直子だったのね。
実際に将棋の世界で生きる人の書いた話だと思うと
納得度が増すし、ちょっとぞわっとするものがあるな。
『宇宙兄弟』1〜9 小山宙哉 [マンガ]
マンガ大賞に2年連続ノミネートされていたこともあり
ずっと気になっていた『宇宙兄弟』をこの度とうとう読んでみた。
な・な・なんてことだ!
すっっっっっごく面白かった!!!!!!
なんで今までこんなに面白いマンガを読まなかったんだ!
ばかじゃないのか私!
と思うくらい面白かった。
小さい頃から宇宙を夢見る兄弟
弟の日々人は夢を叶え、宇宙へ。
いつしか宇宙飛行士なんて夢、と割り切っていたはずの兄・ムッタも
宇宙飛行士を目指して本格始動しはじめる。
主人公である兄のムッタは変人ながらも
とっっっても魅力的。
それに負けじと弟の日々人もとても魅力的。
優等生キャラの魅力って伝えるの難しい気がするのに
日々人はただの優等生じゃないので、
すごく素敵さが伝わる。
2人の子どもの頃のエピソードにはうっかり泣かされた。
宇宙飛行士選考の一連のエピソードもすごく面白いし
日々人の月着陸後のストーリーにはハラハラドキドキ。
私はまだ9巻までしか読んでないけど
もうすぐ11巻が出るようで、どきどきしちゃう!!!
実はレンタルで読んだのだけれど、あまりにも魅力的な作品なので
手元に置いておきたいから買い直してもいいレベルだ。
宇宙に関する本とかもいっぱい読みたくなるよ!
ちょっと前、
野口さんのtwitterでいつも宇宙からの写真見てたんだけど
もちろんものすごくトキメキながら見てたんだけど
あれを見る前に『宇宙兄弟』読んでたらもっとトキメキ具合が違かったかも!
惜しいなあ!
ちなみに作者の小山宙哉の『ジジジイ GGG』は
昔読んだことがあって
この作者の他の作品も読んでみたいなって思っていたのだけれど
同じ作者だとは全然気付かなかった。
それがわかっていたらもっと早く読んだのになあ。
まだ連載中の作品なので、これから新しいストーリーが生まれていくのを
ずっとどきどきしながら楽しめるなんて
なんて幸せなんだろう。
あ、あと、
人が泣くのをこらえている表情がものすごくいい。
『EVIL HEART 完結編』 [マンガ]
EVIL HEART 完結編 (上) (ヤングジャンプコミックス 愛蔵版)
- 作者: 武富 智
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/01/19
- メディア: コミック
EVIL HEART 完結編 (下) (ヤングジャンプコミックス 愛蔵版)
- 作者: 武富 智
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/01/19
- メディア: コミック
出版されたの知ってから、
ずっと、ずーーーっっと読みたかった
武富智『EVIL HEART』の完結編。
今頃になって読んで、大感動。
すごい、もう、ずっと泣きっぱなし。
ありがとう、武富先生…こんなにすばらしい作品を・・・
『EVIL HEART』シリーズについては
最初に読んだときから衝撃で
前にもこのブログでとりあげてたけど
一応おさらい。
父の暴力、兄の暴力、兄をとめようとする母の必死の抵抗…
家庭内暴力の負のスパイラルにどっぷりつかった
主人公・ウメの家庭。
兄の暴力から家族を守るために
「強くなりたい」
その思いだけが先走り、心の荒むウメ。
ひょんなきっかけで出会った合気道の世界。
解け始める鎖、澄んでいく心。
自分を大切に思ってくれる人たちとの出会い
自分が大切に思える人たちとの出会い。
「相手と呼吸をあわせる」という合気道の精神が
ウメを変えていく。
けれどもやってくる、非常な現実。
ここからは逃げられない。
なぜならこれは、現実だから。
それじゃあ、どうしたらいいんだ。
葛藤
混乱
恐怖
信頼
絆
「お願いだから、こうならないで」
「お願いだから、こうなって」
そんな思いを胸に、ずっとドキドキしながら読み進める。
あまりにも深いボリュームに
武富先生、こんなにすばらしい完結編を、どうもありがとう…
そんな気持ちで
読んだ後、しばらく放心状態でした。
こんなすばらしい作品に出会えて
日本に生まれて本当によかったと思った。
ちなみに『EVIL HEART』シリーズは
最初の全3巻+描き下ろしコミック『気編』1冊
+描き下ろしコミック『完結編』上下巻の計6巻。
登場人物たちがそれぞれのストーリーを持つ
すべてが深い各巻それぞれ読みごたえ十分。